エッセイ(2004年2月23日)
Nao-sanのひとりごと




ここ何年か不登校や引きこもり、摂食障害、アルコールや薬物依存、自傷行為、家庭内暴力といった問題を抱えた本人やその家族との接触が多く、その原因のほとんどが親子関係にあることを痛感している。親が自分独自の信念ではなく伝統的な価値観や常識を基準にして子どもをコントロールし、子どもはそれに反発出来ないまま親の「良い子」を演じているうちに自分を見失い、ある時親への恨みや怒りが噴き出すというケースがとても多いのだ。
常に目が世間に向いていて比較や競争の中で生き、他人の評価や世間体といったものが気になる親の下で育てられ、いつも高い目標に向かって頑張れとはっぱをかけられていたら、子どもとしてはどんなに息苦しいことだろう。人生とは楽しむものではなく苦しいもの、歯を食いしばって苦労を耐え忍ぶものであり、人様から見て恥ずかしくない生活をするのが立派な人間だという日本古来の「正しい」価値観がどうもこの家族問題の根底にあるような気がする。
食うや食わずの戦後から急速に高度成長期に入った日本はなりふりかまわずカネ、カネ、カネと追い求め、そのためには有名大学(あえて一流と言わない)に入って大企業(あえて一流とは言わない)に就職するのが一番とばかりに受験戦争が過熱。その陰でどれだけの子どもたちが持たなくてもいい挫折感を味わい、自己評価を低くして来たことだろう。うまくその戦争に勝ち抜いた人たちも当てにしていた終身雇用が崩れ、今では思ってもみなかったリストラの嵐に吹き飛ばされている。
生きる目標を見失い、生きている実感を味わえない人たちがどうしたらさまざまな問題行動に陥らずに楽しくイキイキと自分らしい人生を生きて行くことが出来るだろうか。
それにはこれまで当たり前のように持ち続けて来た伝統的な価値観を手放す必要があるのではないかと私は思う。そしてそれに取って変わるのが新しい価値観であり考え方であるニューエイジ的生き方なのだ。
最近よく聞くフレーズ、頑張らなくてもいい、ありのままの自分を受け入れよう、自分を好きになろう、自分が本当に楽しめることをしよう、好きなことを仕事にすればお金はあとからついて来る、成功は肩書きや名声ではない、自己実現することだ等々。
私もこれらの言葉は本当にその通りだと思う。若い頃の私はあまり深く考えることもなく、伝統的な価値観を振りかざして子ども達に説教をしていた愚かな母親だった。そしてほとんどの親と同じように自分は正しいと思い込んでいた。世間体を気にし、自分の理想を子どもに押し付けていたと思う。だがうちの子どもたちはいつまでも良い子を演じてくれてはいなかった。ある時はそれとは正反対の方向へ暴走したこともある。しかし私が私以上に「正しくて真面目な」夫と別れて、危なっかしい足取りながら一人で「自分らしく」生き始めてからは親子間にも軌道修正が始まった。
やがて「その一」にも書いたように精神世界に目覚め、どんどん価値観が変って行く中で親子の関係は確実に良くなって行った。もう世間の目など気にならない。自分自身の信念に従って生きて行く中で夢は全て実現し、不幸とは縁が切れ、楽しくて嬉しいことばかりが起きて来る。ただ宇宙の法則、真実に沿って生きているだけで。
「子は親の背を見て育つに真向かいて 正論述べれば離れ行くのみ」
「夫婦仲よければ易し子育ては 笑顔と手料理あればなおよし」

これは最近作った下手な歌だけれど真実は突いているつもり。子どもに何か問題が起きた時親は躍起になってそれを何とかしようとするが、そんな時は子どものことは放っておいて自分のことを見直したほうがいい。親の視線が全部自分に向けられていたら子どもだってたまったものではない。
それで自分が愛されているなんて感じる子はいないんじゃないだろうか。子どもは親のエゴを鋭く見破るものだ。「あなたのためを思って」なんてセリフはほとんど嘘っぱちだって知っている。
親はそれが自分のエゴだと気がつかないから子どもを攻め立て、必死に変えようとする。そして始末が悪いことにそれを愛だと思い込んで干渉をし続け、巻き込まれ、ますます自分が空っぽになって行くのだ。

自分に焦点を当て、愛とエゴを見分ける作業をし続けるだけでもどんどん気づきが起きて来る筈だ。
自分を変えるのは努力ではなく気づきしかない。自分が変わればまわりが変わる。これは真実だ。
親が子どもを生き甲斐にせず、自分自身の人生を自分らしく生きるようになれば表情までもが変わって来る。明るくイキイキと輝いて来るはずだ。するといつの間にか親子関係も変わり子どもの問題行動もおさまって来る。自分を大切にしありのままの自分を受け入れた時、初めて子どものこともありのまま受け入れられるようになる。そんな親を子どもは一人の人間として尊重するようになるだろう。子どもにとって尊敬出来ない親を持つほど悲しいことはない。
しばし子どもから目を離して、自分とは何だろう、自分が本当にしたいことは何だろう、愛とは?命とは? など普段あまり考えたことのないことをじっくり考えたり感じたりする時間をぜひ取ってほしい。そして子どものホンネをじっくりと聞こう。自分のホンネも正直に話そう。そしてお互いがラクになること、リラックスすること。そんな中から本当に豊かなコミュニケーションが生まれるに違いない。